私は数学が苦手だったのにエンジニアとして働いていたことがあります。エンジニアは文系でもなれる職業だとはいえ、基礎理論として数学の知識が必要なため、数学ができないとなかなか厳しい職業でもあります。進路を決める際に面白そうという理由でこの道に進んだ私は専門学校に入学して早々勉強についていけず愕然としました。進学校から来たり元々プログラミングをしていた同級生はスラスラと理解できているようで悔しかったのを覚えています。しかし、そんな私でも唯一理解でき興味を覚えたのがオートマトンの理論でした。そこで、まずは興味のある分野の理解を深めていこうと思い図書館で本を借り読んでいくことにしたのです。当初は知りませんでしたが後にその分野が計算機科学とよばれるものであることを知りました。借りてきた本は難解で、数学的記号も多用されており決して読みやすいものではありませんでしたが、私は興味のあるものを理解したいあまり必死に数式を自分なりに解読して読み進め、理論の説明としてある証明も理解できるまで読み込みました。結局その本は返却期限までに読むことができず購入しましたが、読み終える頃には数学的思考力が身についたようで他の理論も以前より理解できるようになり、時間はかかりましたが無事エンジニアとして働くことができるようになりました。一つの分野を切り口に他の分野の理解も深めていくことができたのです。その後も数学は趣味の一つとして勉強を続けています。理解できるようになった後、もっと早くに知っていればそれまでの数学の授業が理解でき、成績で数学が足を引っ張ることもなかっただろうことを考えると、興味を持ったのが遅かったことを後悔しています。もし私と同じように数学が苦手、あるいはなりたい職業で数学的知識が必要だけど苦手意識があるといった方は、私と同じように何か一つ興味のある分野を見つけて、それに対する理解を深めていってはいかがでしょうか。
25歳女性 計算機科学を勉強したことで数学的思考力が身についた
